上の記事の続きです。

今この国の学校は、全部横並びで同じ指導をするスタンダードという手法が幅を利かせていて、同調圧力がすごいことになっています。

例えば
  • 消しゴムは四角でなければいけない
  • 上履きはかかとを揃えて手前に合わせていれる
  • ノートは指定の物のみ可
  • 地毛登録をする(美容室のカラーサンプルを使ってやるそうです)
笑いそうになりますが、学校は大まじめ。
しかも若い先生は「スタンダードがなかったらどう指導していいかわからないので困ります」という人が多いんですって。

そういう管理主義、そして全国学力テストにも見られる競争主義になじめず不登校になる子は多くいます。


そういう子どもたちも不思議と水が合うことが多い定時制にはないものとは何でしょうか?
  • 管理・・・画一的な生活指導
  • 競争・・・他人との比較
  • 効率・・・大規模で詰め込み
この3Kがないんですね。

先生の学校では教員全員が、生徒全員の個性・家庭環境・友人・恋愛などを把握しているそうです。
それができるのは全校生徒200名までが限界だと言っておられました。
学校全体で7クラス、約170人ですので一クラス25人くらいなんですね。
それなら目も行き届くだろうなぁと思いました。

また、「人間には自分の周りにある程度の空間が必要です。教室に40人詰め込まれた状態で落ち着けますか?」と言われてなるほどと納得しました。


また、昼間はアルバイトをすることを薦めているそうです。
アルバイトをすることで自分のお金ができると、自由と自信が生まれます。
アルバイト先で頼りにされると「自分もまんざらではない」って思うことができます。将来へのスキルアップにもつながりますし。
もし、かえって自信を無くしてくるようなバイトだったら別のバイトをさせるそうです。

ただ、人間関係に自信がない子が多いので求人が豊富な飲食業やサービス業より倉庫作業などを希望するのが悩みだとか。

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あと、行事やクラブなどの自主活動を大切にしています。
そこで、協力、共同、団結、信頼感、連帯感を味わい、自主性と行動力を身につける。
「そういう大事なことを学ばないと人として欠落してしまう」
「だから、私は広域通信制高校には賛成できません」
という先生の言葉は胸にグサグサ刺さりました。

だって、娘は小2以降学校に通わずほとんど家に引きこもって生活していますから。

そこで、「私の娘は友達を作ることも望まず、通信制サポート校で最低限の出席で卒業することを目指していますが、先生の話を聞くと不安になってきました。大丈夫でしょうか?」と後で質問してみました。

すると、「子どもにはその子の時期というのがあります。娘さんには娘さんの時期があるでしょうから心配されなくてもいいと思いますよ」と答えてもらいました。よかった。


他に印象的だった話は、「学校は外部の力を借りないと回らない」ということ。
前回の記事でも触れましたが、先生の学校では2012年からスクールソーシャルワーカーに入ってもらい、連絡シートやケース会議で情報を共有しています。
その結果、中退率は19.2%(2015)から13.9(2016)に。体育祭への参加率は58%(2015)から73%(2016)にと明らかに効果が表れています。

学習支援員や多言語チューターも、ほぼボランティアにもかかわらず多くの人が来てくれているそう。

他機関との連携では、市子ども相談室、児童相談所、ハローワーク、そして「要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)※1」ともさっそく連携を取り合って、家庭に問題がある生徒を救っている様子を聞かせてもらいました。

※1 平成16年の児童福祉法の改正により、虐待を受けた児童などに対する市町村の体制強化を固めるため、関係機関が連携を図り児童虐待等への対応を行うために設置された



定時制高校の先生の話ってどんな感じかなと思っていましたが、生徒の様子や不登校の話だけでなく、その根本的な要因にもなっている貧困や家庭環境で苦しむ親子の話や、その背景まで聞くことができて勉強になりました。

発達障害を持つ親子にも通じるところがあると感じたのですよ。
これは私のケースワーカーさんに聞いた話ですが、発達障害を持つ子どもの親も発達障害で、家事をすることができず、子どもは朝起こしてもらえないし朝ごはんも作ってもらえない、家はゴミ屋敷状態というケースもあるそうです。

それって子どもだけ見ていても根本的解決はできないわけで、役所が介入して家族ごと助けなければならない。
そういうことって不登校でも発達障害でも困難を抱えた子どもから見えてくることも多いのではないかなって。


子どもの不登校、発達障害、そして自分の発達障害のおかげでどんどん視野が広がっているような気がします。勉強しよう。