アスペルガーでADHDな私は家事全般が苦手ですが、特に料理はぐったりとしてしまうくらい苦手です。
献立を考えることが本当に苦痛、レシピ本などをみても工程や材料を覚えられないので何度も確認しなければ作ることができない、何回料理を作ってもレシピを覚えられない、といったことに悩まされてきたのですが、最近自分がどうして料理や買い物が苦手なのか気づかされる出来事がありました。


それは小説を読んでいたときのこと。
登場人物がスーパーで買い物をしているシーンが出てきたのです。
その人は材料を手に取って例えば「ゴボウは牛肉と組み合わせてしぐれ煮にしたらいいな」「冷蔵庫にトマトが残っていたから茄子とズッキーニを買い足してラタトゥイユにしよう」とか次々と段取りを考えながら、家族の好きな料理を作るために買い物をしていました。

そこで私は「え?、普通の人は買い物をするときにそこまで考えているものなの??」とびっくりしたんですよね。
ヘルパーさんに聞いてみても「そうねー、まぁなかなか決まらないこともあるけど、だいたいこの材料でどんな料理をしようかは思い浮かんでいるかな」との答え。


私は例えばゴボウなら「ああ、ゴボウやな。安いな」で終りです。目に入った安いものかおいしそうなものを適当にかごに放り込んで、家に帰ってからその材料で何を作るか頭を抱えて悩んでいました。

たまに「肉じゃがを作ろう」と決めて買い物に行くこともありますが、余った材料をうまく使いこなすことができずよく腐らせてましたね。


前回の精神科診察のときに主治医に「先生、私は買い物に行ってもゴボウはゴボウにしか見えないんです。そこから何を作ろうとか考えることができないことに気付いてしまいました」というと、「ああ、それはあなたの段取りが苦手という特性によるものですね」とあっさり。
そうか、買い物も段取り力が求められるのね。



あと、自分は食べることが好きだけど料理に全く興味を持てないということにも思い至りました。
美味しいものを食べさせてもらっても「わぁ、美味しい!」と感動はするんだけど、時間がたてば何を食べたのかもはっきり思いだせない。もちろん「どうやって作るのかな?」なんて思うこともない。
雑誌のグルメ特集を見ても「へぇ、美味しそう」とその時思うだけで実際に行こうとは思わない。

親に「料理を教えてあげるから台所に来なさい」といわれても「絶対にイヤ!!」と逃げ続けていました。「料理=面倒くさい」としか思えませんでしたから。 


そのせいで自分で料理するようになったらてきめんに困ったわけですが、レシピ本にはずいぶん助けられました(レシピ本なしでは何も作れなかった)。レシピ本を買うのだけはなぜか大好きで、本さえ買えば何とかなるような気になってしまうんですよね。
でも、何回作ってもレシピは覚えられないし、レパートリーとして頭の引き出しにも入ってくれないので、本来ならもう少し経験値は上がっているはずなのにレベルは低いままという悲しみ。

それでも約17年間、支援を受けることもなく主婦して家族に料理を作っていたのは本当に頑張っていたんだなと思います。脳みそは焼けこげそうでしたが。

今はヘルパーさんに料理を任せるようになって、ずっと感じ続けていたストレスがずいぶん軽減されました。冷蔵庫に料理が入っているだけで精神は安定します。まじで。