小学生で不登校!?~大人と子どもの発達障害~

小学校2年生で不登校になり、3年生で支援学校に一時転籍、そこでひどい体験をして元の学校に籍は戻ったものの、それっきり一度も登校していない娘(現在中3)と、42歳にして娘とともにアスペルガー症候群と診断、46歳でADD(注意欠陥障害)も加わった母の道のり。

2016年10月

「子どもを信じること」を読んで

このごろ秋らしく読書にハマっています。

ツイッターで話題になっていて欲しくなり電子書籍で買ったのがこの本。
電子書籍では2,000円です。

「子どもを信じること」 田中 茂樹 



著者の田中先生は、脳科学者/医師/臨床心理士/四児の父親/少年サッカーの指導者といういろいろな顔を持っています。

そのそれぞれのシーンで体験したことを豊富に例に盛り込んで、やさしい語り口で書いてあるのでとても読みやすい内容となっています。

私は、娘が小2から中2の現在まで不登校で、親の会で「信じて、任せて、待つ」ということを教えられて、ずいぶん子どもと向き合うのが楽になりました。

この本では、子どもに指示しない、先回りして失敗を防がない、子どものいうことや態度を無条件に受け入れるということが何度も書かれています。


それは、カウンセリングでカウンセラーがクライアントに向き合う姿勢に通じているというところでなるほどと思いました。カウンセラーはクライアントが何も話さなくても、何を話しても、決して批判することはなく、心は全力でクライアントに向けてほとんど黙って寄り添います。 

自分自身カウンセリングで大きく立ち直った経験があるので、実感としてわかるのですが、「この人は絶対に自分を責めない」という人に心を預けることができることはとても心強く、対話を重ねるごとに「自分は本当はどうしたいのか」、「何がつらいのか」ということが自然に分かってくるのです。
そして、それを実行に移す勇気もゆっくりだけれど湧いてきます。 

カウンセラーの講座でイヌ・バラ法という傾聴訓練を体験しましたが、自分の考えをはさまず、ひたすら相手の話に耳を真摯に傾け、共感するというのはものすごく精神力を消耗します。
心を全力で相手に向けていないとできないから。

※犬・バラ法とはカウンセリングの研修などで用いられる「イヌ・バラ法」という手法を使い、話し手が犬やバラなどになりきって悩みを語るというロールプレイを行います。聴き手は「あいづち」「繰り返し」などの手法を用い、話し手の気持ちを受容する聴き方を練習します。


逆に、普通の会話のように「こうしたらよかったのに」、「私はこう思う」と口を挟まれるとしゃべる気がなくなってきて悲しくなるんですよ。それはもう見事に。


この本の中では、どうして親が子供を叱りつけてしまうのかという心理も分かりやすく解説してくれています。
ざっくりいうと、自分の心が楽になりたいからなんだということがよくわかりました。
子どもが失敗したりすると、自分の身にそれが起きたように感じてしまい、全力でそのダメージを防ごうとしてしまうんですね。 
不登校になった我が子を責めてしまうのも、自分が不安で仕方ないからなんだよなぁと深い反省を込めて思いました。 


あと、もう一つこの本の読みどころは、「家庭を子どもが心からホッとできる居場所にするとどうなるか」というところです。豊富な例のあとに最後に出てくるアイスクリーム療法は、なるほどと思いました。 


親も自分のしんどい気持ちを認めたらいいなと思います。
「これでいいんだろうか」という不安な気持ち、子どもと対するときに沸き起こるイライラした気持ち、それを否定されてしまうとたまりません。
「あ~、なんで子どもにこんな優しくしなきゃいけないんだろう」と腹が立つことがあって当たり前ではないかと。

そんな自分をそのまま認めてあげるのは、自分自身であり、足りない分は同じ悩みを持つ人と分かち合ったり、カウンセリングを受けるといいと私は思います。

この本の内容をできるだけ実践しているつもりの私も、親の会、支援者、カウンセラーなどがないと一人では立てませんから。


とてもいい本でした。
全力でおススメしたいです。 

発達ナビにコラムが掲載「中学校にはいかないと伝えたら」

発達ナビにコラムが掲載されました。

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発達ナビ:https://h-navi.jp/column/article/35025854


うちの娘は小学校6年生のときに、「中学校へは行かない、制服もいらない」とはっきり意思表示しました。

彼女の意思を貫き通すためには、中学校との話し合いは欠かせないと思い、早い時期から親の会に関わる教育相談の先生のアドバイスをいただきながら、スクールカウンセラー、校長先生と話し合いの場を持ったのです。

だけど、校長先生から返ってきたのはあまりにもステレオタイプな、「こんなにもれなくひどいことをいわれたのは久しぶりだわ」というくらいの言葉の数々でした。

「女親一人で行ったらなめられる」とよくいいますが、今回のケースは全くその通りで、私を対等な大人とは思っていない言葉遣いと暴言の数々。
こんな学校に籍を置くのかと思うと目の前が真っ暗になりました。


悔しいけど、ここで引き下がったら子どもの不登校生活は学校にめちゃくちゃにされてしまう。
親の会やブログにいただいたコメントなどで知恵を頂き、教育相談の先生に付き添ってもらって、入学してから学年の先生集団と話し合いを持って、やっと理解していただきました。

それでもまだ行き違いはあるのですが、それはまた別の記事で。


不登校やいじめ、支援学級など配慮してほしいことがあれば、小学校の先生にあいだに入ってもらって早い時期から中学校と話し合いを進めることをお勧めします。

ただ、3学期は中学校は受験などで余裕がありません。
うちの地域では、中3の担任が次の新一年の担任になることもあり、担任たちとの話し合いは新学期になってから、学校として対応してほしいことは2学期のうちに話し合うのがよかったようです。

話し合いの際は、内容を録音しておくこと、できるだけ付き添いの人を立てることをお勧めします。


今回は不登校で中学へ進学するときの、親と学校の話し合いについてでした。
 

りさ3年生 最後の入院⑧

これはりさが小学校3年生のときの話です。

入院して7週間目です。

12月

12日(月)
学校で校長室で図工した。担任の先生を違う先生の名で呼んでいた。
病院で帰りしな私に「ありがとう」っていった。


13日(火)
りさの部屋に小3のてんかんと不登校の子が入ってくる。
女の子3人で盛り上がり、りさは主治医に「退院のばして」と頼みOKもらう。本当に友達を求めているんだなぁ。
「楽しいから学校行きたくない」と先生に訴えたものの、「帰って来てからもいるから」で素直に学校へ行く。

14日(水)
「今日はしんどい。行きたくない!」でOKする。
同室の友達と一緒にシャワーも浴び、楽しくてしょうがない。
看護師が「学校に行き」っていいに来たら、カメになって抵抗。
先生は「続けるのも自信になるからね。でも目標は学校だけじゃないからボチボチその時そのときでやっていきましょう」って。

夜トランプに飽きてやさぐれる。「こういうときどうしたらいいのかも勉強やで~」といったら、「ママは全然りさの気持ちわかってへん!」という。確かにそばでじっくり聞いてあげればよかった。

15日(木)
元職場近くのハーブカフェで、小学校の保健の先生が関わっている不登校の会を教えてもらった。
図書館の人も親切でみんな優しいなって今思った。
りさ学校行って、トランプして、身体の柔らかさ自慢をしていたら鼻をゴーンとぶつけた。夕食時に1時間半ぐらい寝てしまう。

16日(金)
病室で、ハーブカフェで買ったドライラベンダーと私が用意した布で、みんなでサシェ作り。
1人リボン結びができず落ち込むりさ。
「好ましくない行動には反応しない」「壁になる」を思い出して耐える私。

17日(土)
りさ、ちょうちょ結びできるようになっていた。すごいぞ!
7時半に「帰っていいよ」といわれたので帰る。

18日(日)
病院行ったら、部屋のみんな生活表作らされていて、りさもみんなも怒っていた。
見せてもらったら、何時に起きて、何時に食事して、勉強して、寝てといちいち書かされるもの。ああ、彼女たちみんなこんなの嫌いだろうなぁ。
りさ、「明日学校行かん」だって。


不登校女子3人部屋になって、りさは大喜び。
あとから聞いたら、夜中にこっそり中学生のお姉ちゃんに飲み物のふたを開けてもらったり、いろいろ助けてもらったよう。
あっという間に意気投合した3人でしたが、みんなやっぱり入院生活が不安なのか、面会時間じゅう親がついていました。親同士で話もできたし楽しかったなぁ。

今でも、「あの時だけは楽しかった」というので退院を遅らせた甲斐があったなと思います。 

娘が積極的に出かけるようになってきた理由

この1週間はいつになく娘の調子がよく、びっくりするとともに、「大丈夫か?」、「反動が来ないか?」と心配してしまうくらいでした。

月曜日
自転車で北海道展に行く。
いっぱい試食を楽しみながらも、娘は買うものを頭の中で決めていたようで、一回りしたら「ママ、買いに行こう」と順序良く会場を回りながらどんどん買って回る。(払うのは私だけど)

買うものを忘れないのと、位置を覚えていること、効率よく回ることに感動するわたくし。 
これ、私にはできないことだから。

前に行ったことを覚えていてくれたおばあちゃんの店員さんが、「お姉ちゃん、大きくなったね~。中2になったの?頑張りや。人生何とかなるからね」と一生懸命語りかけてくれたのがうれしかった。

火曜日
朝から胃腸科の診察に一緒に行く。
先生とちゃんと話し合う姿に感動。

水曜日
今日はお休み。
家でパソコンしたり、テレビ見たり。

木曜日
娘から「散歩を兼ねてポケモンGOしに行こう」と誘われ、近所を散歩。
スーパーに寄った帰り道、全力疾走2本する娘。
わらじサンダルで走れることにもいつも感心するが、これだけの体力があるとはびっくり。
「昔から足が遅くて、友達と鬼ごっこしても捕まえられたことがなかった」と話してくれた。

かえって私が昼寝している間に、スーパーで買った鰹の刺身をきれいに包丁で切って、にんにくをすりおろし、調味料を混ぜて漬けを作っていた。
「にんにくがおろし器から取れなかったから、水につけて浮いてきたのを入れた」。かしこい。

晩は漬け丼を頂く。

このごろ、よく私に触れてくる娘に「スキンシップやなー」といったら、「そういわれるとやりたくなくなる」と言われてしまった。
でも、やっぱり相変わらずよく触れてくる。

金曜日
私が通う体幹トレーニング教室に体験で参加。
小規模な教室で、先生も生徒も私と一緒に知り合った人たちばかり。平均年齢45歳くらいかな?
なんと「これから続けて通う」とのこと。

帰りにクーポンで牛丼をゲット。

土曜日

家でゆっくり過ごす。

日曜日

二人でたこ焼きパーティに参加。
騒がしい男の子たちもいたけど、「いやじゃない」。疲れたら廊下で休んでいる。
マメに働き、マイペースに過ごす。 


いや~、こんなに外出する娘は初めてで、この積極的な姿に本当に驚きました。

どうしてかな?と考えると、やっぱり支援を受ける中で初めて信じられる大人に出会ったことが大きいのかなと思いました。

この前支援の場で、「どうして今まで支援と名の付くものは嫌だったの?」と聞いたら、「泣いても無理やりやらされた昔と同じことをやらされると思ったから」といったんですよ。そして「ここは居心地がいい」と。 

いつも私も同席して、理由をちゃんとあげてからほめられて、自分のペースで取り組んでいていることを肯定される場が今の支援の場です。

そこへ月に一度通うこと、少しずつでも前進している実感があること、信じられる大人と出会ったことが娘を少しずつ変えていきました。


親だけではできないことがある。
だけど、親しかできないことがある。

それを実感している今日この頃です。 

発達ナビにコラムが掲載「不登校のまま中学へ進学する子どもの気持ち」

発達ナビにコラムが掲載されました。

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発達ナビ:https://h-navi.jp/column/article/35025838

今回は、小学校に通わないまま中学進学を迎えた娘の様子と、元中学教員の教育相談の先生に教わった、不登校で進学を控えた子がどのような行動をするか、それはどういう風にとらえればいいかという話が軸になっています。

「小学校を留年したい」という娘の言葉には驚きましたが、それだけ学習の遅れや周りの子が通ってきた道をクリアしていないことに不安を感じているのだなと教えられた気分です。

そろそろ中学の制服の採寸や注文の話が出てくる季節です。
子どもも、嫌でも進学を意識させられ、友達が一歩上のステージに行ってしまう、手が届かなくなってしまうというさびしい気持ちを感じたりもします。

これを機会に学校復帰と考える方もおられるでしょうが、私の場合は「小学校でうまくいかなかった子が、もっと人間関係も難しく、周りの子も思春期に入った中学という環境で耐えられることはないだろう」と考えました。

もちろん、本人が制服を欲しがったり、通学の意思を見せれば、制服は買うし準備はしますけども。
それが本当に子どもが望んでいるのか、注意深く見守る必要があると思います。
「行きたい」も「行きたくない」もどちらも本当の気持ちですからね。

答えは心と体が出してくれるでしょう。


うちは制服も買わなかったし、中2の今も一度も自分の学校に行ったことがありませんが、先生方とも交流しているし本人も幸せそうに過ごしていますよ。
 
Twitter プロフィール
42歳でアスペルガー、46歳で加えて注意欠陥障害と診断される。娘はアスペルガーで小2から中3まで不登校を通した末、今春から通信制サポート校に入学。「小学生で不登校!?」ってブログやってます。
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