小学生で不登校!?~大人と子どもの発達障害~

小学校2年生で不登校になり、3年生で支援学校に一時転籍、そこでひどい体験をして元の学校に籍は戻ったものの、それっきり一度も登校していない娘(現在中3)と、42歳にして娘とともにアスペルガー症候群と診断、46歳でADD(注意欠陥障害)も加わった母の道のり。

2016年06月

note連載「小3 5月 特別支援学校に転籍する」

note更新しました。

 
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note:https://note.mu/green_forest/n/n46bd5eb1c919

もし一時保護を選んでいたらどうなっていたんだろうと考える今日この頃。

なかなかまともな環境を整える余裕がないと新聞で読むので、かえって傷を深くしたかもしれないし、ひょっとしたらいい対応をしてもらえたかもしれない。

「もしも」は考えても仕方ありませんが、とにかく環境を変えたのは私の心を救ってくれました。 

テンション高くほめるといいんですか?

あさイチの「ほめて伸ばす!子どもの発達障害」を見て

2016年6月22日放送のあさイチで、ABA(応用行動分析)を用いた療育方法が紹介されていました。

プロのコーチが子どもが絵カードに正解するたびに、テンションも高く「まぁ、素敵!」、「できたね!」と声をかけているのになんだか違和感を感じてしまったのです。

というのは、テレビを見ていて子どもがほんの一瞬、褒められる前にビクッとしたような表情を見せたから。

私の心の中の深いところが、「調教されるのは嫌だ!」と叫びました。

ABA自体は素晴らしい手法で、私も本を買って読みました。 共感できるところもいっぱいあったんですけど、映像で実際の療育を見るとなんだかスパルタ教育みたいで拒絶感を感じてしまいました。
一部だけ見てすべてを否定する気はないですけども。

テンション高くほめるのが苦手な保育士でした

私は短い間ですが保育士として働いていて、1歳児を担当していました。
子どもたちの年齢は満1歳から1歳11か月まで。
まだ言葉も通じないころは、ボディランゲージを使うしかないので、こちらも自然と大げさな動作やマザリーズ(大人が乳幼児に向かって話しかける際に自然に発してしまう、声高で抑揚のついた独特の話し方)ができるのですが、ある程度成長した子どもにはできないんですよね。

理化学研究所で面白い実験があったのでご紹介します。
今回の研究は、育児経験の有無や性差によるマザリーズの違いを調べるために、(1)親の経験のない男性と(2)女性、(3)前言語期※1乳児の父親と(4)母親、(5)二語文期※2幼児の母親、(6)小学一年生の児童の母親ら、それぞれ20名程度からの協力を得て実施しました。

これら6つのグループについて、マザリーズを聞いたときの脳活動をfMRI※3で調べた結果、前言語期乳児の母親の脳活動が最も盛んであり、その部位は、言葉をつかさどる言語野※4であることが分かりました。

さらに研究グループは、個人差についても検証するため、参加者全員の性格検査を行いました。
その結果、やはり前言語期乳児の母親だけで、社交性や活動性を示す「外向性」が高い人ほど、発話運動にかかわる運動野※5が強く活動する傾向を見いだしました。
前言語期乳児は言葉を話せないにもかかわらず、母親の言語野で高い脳活動を示したことから、母親が乳児に何とか言葉を伝えようしていることが分かりました。
また、マザリーズを聞いているだけで発話にかかわる脳部位が活動したことから、脳内でシミュレーター※6が活発化していることが考えられました。

この言語野や運動野の活動は一過的で、二語文期幼児や小学生児童の母親では見られなくなり、成人向けの話し方と差が無くなることが分かりました。

産後うつ(鬱)※7にかかった母親はマザリーズを話さず、平坦な口調になることが知られています。またマザリーズを話さない状態が続くと、乳幼児へ悪影響を及ぼすことも示唆されています。マザリーズの脳機能解明により、産後うつの診断や乳幼児を持つ母親らのメンタルヘルスケアの技術開発に貢献するものと期待されます。

理化学研究所:http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100810/ より
  給食の時間に苦手なものを食べさせるために、園長は食べたらほめるようにいいました。
精一杯ほめていたつもりなのですが、「ヨーコさん、テンション低すぎ。もっとワーっといってあげなきゃ」と注意されたのです。

無理してやろうとしても声は裏返りそうになるし、演じているみたいで自分が嫌になってしまう。
「私には保育士は向いていないのだろうか」と悩みました。
最後まで克服することはできませんでしたね。

テンション高くほめる方がいいのか?

あさイチを見たのをきっかけに、保育士時代のことを思い出し「テンション高くほめるほうがいいのか?」と今更ながらに考えるようになりました。

ちなみに14歳になった娘はもちろん、「テンション高い人は苦手だし、そういう褒められ方をしたらバカにされているのかと思う」と思春期らしいことをいっています。

「ほめられるのはうれしいけど、当たり前のこととかをほめられるのはイヤ」
「純粋に心からほめられるとうれしい」
そうです。

子どものほめ方を調べたら下記の記事が見つかりました。
0歳・1歳の頃は日々の成長が分かりやすいので、笑っただけでも「笑った笑った!」、立っただけでも「立った!スゴーい!」など、子供の成長を素直に喜ぶことと思います。
この時期は親が大げさに褒めることで、「自分で何かできると嬉しい」「喜んでくれた」などの感情を学びます。
ですので、出来た事に対して、笑顔でパチパチパチ~と拍手をするなど、親の“嬉しい”の気持ちを大げさに表現しましょう。

ただ、2歳・3歳の頃はだんだんと人の表情を読み取れるようになるので、あまり大げさな褒め方だと、「何か変だな」と感じることもあるでしょう。
さらに4歳・5歳の頃になれば複雑な感情が分かってくるので、「何か裏があるのかも」「本当は喜んでいないのかも」などと勘繰るようにもなってきます。
ですので、大げさに褒めるのは1歳代くらいまでと覚えておいて下さいね。

育ラボ:https://iku-labo.jp/childcare/4320/ より
 
なんかすごく腑に落ちましたよ。

私も「ほめてあげて」といわれてきたけれど

娘が不登校になってから、私自身も娘の主治医に「できるだけ褒めてあげて下さい。無理なら『ありがとう』ってたくさん言ってあげて下さい」といわれてきました。

それから頑張ってきたつもりだったけど、娘が本当にうれしそうに笑って「わあ、ママに褒められた」といったのは中1のときの一回だけ。
彼女のすごいところを、本当に頭に浮かんだままに「いやぁ、こういうことができるってすごいよなぁ」とボソッといったときでした。

やはり心から出た言葉は力があるんですね。

私は自分流でいこう。できないことはできないし。 

発達ナビにコラムが掲載「発達障害と体調不良」

発達ナビにコラムが掲載されました。

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発達ナビ:https://h-navi.jp/column/article/803


今回は意外と知られていない発達障害と体調不良についてです。

以下の本がずいぶん参考になりました。


 

「女性のアスペルガー症候群」は健康ライブラリーの本で読みやすく、「ガールズトークについていけない」、「女の子らしくしなさいと叱られる」、「自分の成長に戸惑い、体調を崩す」、「感覚面の偏りに苦しんでいる」など、頷きどころ満載でした。
「避けて通れない、性の問題」についてもページが割かれていて、思春期の女の子を育てている親としては助かりましたね。


「自閉っ子、こういう風にできてます!は、当事者であるニキリンコさんらの対談本で、アスペルガー症候群である彼女らがいかに身体的感覚の特性ゆえに悩まされているか、身体がつらいかがコミカルに描かれています。
私も同じ障害ですが、ここまでつらい症状に悩んでいる人がいるんだとびっくりしました。
ある程度は「わかる~」って感じですが、本当に個人差が大きいんだと改めて感じました。


私自身、思春期ごろから「どうしてこんなにしんどいんだろう」という体調不良に悩まされ続けていたので、それが発達障害の影響を強く受けていることを知って衝撃的でした。

このことはあまり知られておらず、でも大人も子どもも悩んでいる人が多いので、ぜひ広く知ってほしいと思って書きました。
 

発達障害の子を発達障害の親が育てるということ

親も発達障害の場合困ること

発達障害を持った子どもを育てるには、皆さんいろいろと工夫しておられるようです。
療育を自分でしていたり、家庭での接し方を工夫したり、すごいなぁと思います。

その中には、けっこう多い割合で自分も発達障害を抱えている方がいるという印象を受けています。

みんな様々な苦労をしていると思うのですが、私が自分も発達障害で子どもを育てるうえで困ったことについてまとめてみたいと思います。

障害に気づかない

私は、娘が診断を受けるまで全く発達障害を疑ったことがありません。

なぜかというと、「こだわりが強い」、「感覚が過敏」、「声が聴き分けられなくて体育の時間に困った」、「指でしか計算できない」、「完璧にできないといや」、「友達付き合いがうまくいかない」といった特徴は私にとって当たり前のことであり、何かのサインとは全く思わなかったのです。

こういったことが「発達障害」であり、自分もそうだったんだと気づいたのは娘が診断を受けて、こういったことが特性なんだと教えてもらってからだったのです。

対応する上で大きなストレスを感じて倒れてしまう

まだ診断がつく前、娘が不登校になって学校や相談機関と何度も話し合ったり、時には責められたり強引なことをされたりしたとき。
身内や周りの人に責められたとき。

どうやら私は定型発達の人以上に、話をうのみにしてしまったり、また相手が何をいいたいのかよくわからないことがあったようです。

娘の対応にも、ものすごいストレスを感じ、二次障害で持っていた神経症やうつ傾向は急激に悪化、
体調も崩してじんましん、腹痛、嘔吐、頭痛、だるさなどで寝込んでばかりいました。

想定外のことばかりの日々に、ただでさえでも許容量の小さな心はズタボロに壊れていきました。

順序立てて話すことができない

発達障害の人は、物事を順序立てて考えることが苦手です。
また考え方を整理しにくく、頭の中が時々パニック気味になってしまう事があります。

その特性ゆえに私は物事を順序立てて話すことができません。
いや、ものすごく頑張って紙に下書きして熟考の末ならできるんですけど。

だから今まで様々な話し合いの場で、言いたいことがうまく言えず、終わったあとで悔しい思いをすることが多かったです。

娘に話をするときも、突然思いついたことを言ってそのまま会話が進んでいき、うっかり地雷を踏んでしまったり、話すべきではないことをいってしまいそうになり頭が真っ白になることがよくあります。


娘を支援してくれている人は、娘が納得できるように順序立てて話してくれます。

例えば、「高校に行きたいのなら体力をつけなければ通えないよね。すぐに運動するのは大変だから、一日一回だけお母さんとちょっとだけ外を歩いてみない?」と提案します。 それから何か月か様子を見て、「お母さんがキレたときに避難場所があったらいいと思わない?(娘大きく頷く)じゃあ、○○に行ったらみんなあなたことを分かってそっとしておいてくれるから行ってみようか」とまた提案するわけです。

私だったら、「体力ないのはつらいな。ちょっと一緒に外歩こうか。無理?それじゃしょうがないな」と引いてしまいます。
本人がその気になるようにスモールステップを考えることが苦手なんですよね。

ちなみに順序立てて話せるようになるには、5W1H 「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」を意識するといいそうです。

親にも支援が必要です

今は、私自身にも支援者がつき、娘のケース会議にも出席してくれています。
自分の障害のケアをしてもらうことによって心に余裕もできますし、学校との話し合いなど負担が強いことには付き添ってもらうこともできます。

娘と自分の支援の輪がつながることで、とても心強い気持ちになりますし、気持ちがしんどいときは自分の支援者に相談することもできます。

ふたりだけのときは薄氷の上を歩いている感じでした。
私が壊れたら二人で落ちていってしまう。

いまたくさんの人に関わってもらって、誰かが壊れたり、抜けたりしても大丈夫という安心感に包まれています。 

不登校の娘の独特な算数

うちの娘は九九の途中で不登校になったため、今まで全然九九を覚えていませんでした。

最近、やる気を出して2の段から順番に覚えていっているのですが、暗唱の仕方がまた面白いのですよ。
(動画撮らしてもらったけどUPはNGだって)

指を独特の使い方をして計算機がわりにしてるんですね。
動きもコンディションによるけど猛烈に早い。 
それで数を認知してるんだなと思います。

不登校になって何年間も、「指で計算したらあかんねんで」といじめられたせいで計算することさえやめてしまった娘。
堂々と指計算を特技の域までに高めたことに感心しました。


また、先日は「ママ、9の段って簡単?」といってきたので「???」となりました。
するとこんな図を見せてくれたのです。

table_99

「ほら、一ケタ目は一つずつ減っていってて、二桁目は一つずつ増えていってるやろ!」
そして、9×10=90 9×11=99 9×12=108 とグーグル検索で計算して「おお!やっぱり!!」と感動していました。

私も初めて気づいたので、「ほお、なんでこんなきれいに一つずつ減っていくんだろうねぇ?」といっていたのですが、目の付け所が面白いなぁと思ったのです。


あと、計算の話をもう一つ。

いま娘がやっているネットゲームで、ギルドで分担してアイテムを作っているそうなんですよ。
で、エリクサー×2を作るために彼女はポーションを2つ作らなければならないのです。

ボーション一つ作るのに必要な薬草は6こ。
ではエリクサーを2個作るために必要な薬草はいくつでしょう?


娘は混乱して私に「わからへん、どうしよう」と聞いてきました。

「メモに書くか、どうしたいのかメモ帳に打ち込んでみたら?」

「エリクサー1つを作るにはポーションが2つ必要。エリクサーは2ついるからポーションは4ついる。
ポーション一つを作るのに必要な薬草は6個だから、そうか、6×4=24 必要なんだ!」

思った通り、自分で文章題に直してみたら頭がすっきりしたようです。


私もそういうところがあるから分かったのですが、ポンと課題を突き付けられただけでは脳みそが混乱するのです。
自分なりの言葉に置き換えて、何が求められているのか手順表みたいなものを作ると理解できるんですよね。


いやいや、何事も経験ですね。
 
Twitter プロフィール
42歳でアスペルガー、46歳で加えて注意欠陥障害と診断される。娘はアスペルガーで小2から中3まで不登校を通した末、今春から通信制サポート校に入学。「小学生で不登校!?」ってブログやってます。
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